2020年より学習指導要領が改訂され、学校では「より主体的・対話的な学び」が主流になります。
既に改革が始まっているのを、お感じになっているのではないでしょうか。
このような教育スタイルの中では自発的に手を挙げ意見を発表し、仲間を巻き込んで物事を推し進める力が求められます。今のところ、この形式の授業にはごく一部の子どもだけがついていくことができるようです。大人数の教室の中では、きめ細かい指導はできないからです。
なぜ学習指導要領は改訂されたのでしょうか。
大人のあなたが知らないところで、コミュニケーションが社会的な課題として語られるようになっていたのです。
実は、日本はこの分野で他諸国から圧倒的に遅れています。
多くの人は自分や自分の子どもは大丈夫と思っていても、実は気づいていないだけ…
学んだことがないし、それで何となく過ごせてしまったのですから、課題があることに気づかないのです。ところが日本を出てみると、課題がよく見えるようになります。
私は、幼い頃は時々海外で生活をする機会がありました。小学生では帰国後に日本の学校になじめず苦労しました。意見を言うとまず先生に煙たがられ、周囲からも浮いてしまい、次第に意見が言えなくなりました。すっかり日本人化した後、自分の意思で海外の大学院に進みました。留学先では世界中の留学生が集まって活発にディスカッションをしていましたが、自分はそこで意見が言えずに落ち込みました。日本人のコミュニケーション力や教育にはっきりと疑問を持ったのは、恐らくこの時。これが私の原点です。
現在は、企業で人材育成の仕事をしています。採用業務をしたり、社員のための研修やワークショップをデザインしたり、講師として人前に立つことも多くあります。
新卒・中途の採用時にコミュニケーション力は最も重視されるポイントです。また、コミュニケーション研修は、例年最も数多くリクエストが挙がります。
そもそも自己肯定感が低い、同僚との関係づくりがうまくできない、部下をハラスメントまがいの言動で傷つける…。
どうして日本人はこうなってしまっているのだろう?もっと早くに、人間の多様性を学び人間関係構築について練習したら、みんな生きやすくなるのではないか?そんなことを思っていた時に、ことばキャンプと出会いました。
20年前に日本の未来に危機感を持ったNPO法人JAMネットワーク(現)は、アメリカで実施されているソーシャルスキルトレーニングを日本人親子向けに開発し「ことばキャンプ」と名付け、日本全国に展開し始めました。
教室の子供たちは、ことばキャンプのレッスンで魔法にかかったかのように変わっていきます。
年長・低学年クラスでは、席でモジモジしてお母さんばかり見ていた子が、次第に目をキラキラさせて自分の考えや気持ちを言語化し周りと共有できるようになります。
高学年クラスになると、自分も他人も大切にするアサーティブな関係を構築させる方法を習得していきます。実は大人でも難しいことを、ことばキャンプの子どもたちは習得していきます。
私からは「親御さんがお子さんを連れてきてください」とお伝えしています。そもそも社会的な経験の少ないお子さんに、ことばキャンプの価値は見えていないのが当たり前です。
多くのお子さんは中学生くらいになってくると、気づきます。自分は積極的に意見を表明することができて、リーダーシップを発揮することもできて、堂々とプレゼンもできる。そういえば、これって ことばキャンプで学んでいたなぁ。さらに成長して社会との接点が増えていくと、ハイレベルなコミュニケーション力が必要になるので、親御さんにことばキャンプに行かせてもらったことを感謝するようになります。
ことばキャンプでの学びがその真の価値を発揮するのは、未来です。その未来が来た時に、お子さんの側でチカラを発揮する準備できている。そしてチャンスをつかむことができるのです。
そう、コミュニケーション力は一生の宝なのです!