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傾聴が難しいワケ

「聞く耳モード」やってみて!

先日、某ベテラン講師が研修の最後の方で、真剣な表情になりこんなことを言いました。

「私は長年こうやって皆さんに講師としてスキルをお伝えしてきましたが、なんといっても『傾聴』ができていない人が本当に多いです。本日、最後にこれだけはお伝えしたいです。傾聴は一番大事なスキルで社会人として必須です。是非身に着けてください」

私はこの講師の発言に激しく同意しました。その研修でも傾聴できていない受講者が半数以上いましたが、私自身も思い当たることが多かったからです。社会人として20年の間に3つの組織に所属しました。組織の大小に関わらず、傾聴が出来る人と出来ない人の差は大きかったです。特に3つ目の会社はグローバル企業で優秀な人も多かったのですが、昇格者向け研修で傾聴スキルをわざわざ時間を取って教えていました。それでも、マネジメント層の全員が出来ていたわけではありません。

さて、親子コミュニケーション教室「ことばキャンプ」では、「聞く耳モード」を大事な約束として、子ども達と一緒にレッスン前に必ず確認しています。私はこの「聞く耳モード」がとても好きです。なぜなら「あいうえお」で覚えやすく、かつ傾聴を具体的な言葉で説明しているからです。

  • アイコンタクト…相手の目を見て話を聞く
  • うなずく…あごと首を縦に振って聞いているサインを送る
  • がお…にっこり優しい顔だと、相手の人は話がしやすい
  • へそ…体の中心を相手に向けよう
  • しまいまで…話は最後まで聞こう

大人の皆さん、自分も周囲の人もこれらは出来ているでしょうか。

なぜ実践が難しいのかを考えてみました。第一に、育つ過程で学習していない。学校や家庭で「人の話をしっかり聞いて!」と言われたかもしれませんが、その「しっかり」を言語化して徹底的に練習していない。第二に、傾聴をそんなに大切にしていない。前述の会社のように、出来てなくても昇格するくらいですから、他のスキルに比べて傾聴スキルの立ち位置が低そうです。最後に、相手の気持ちをあまり考えていない。相手の気持ちなんてわからないという人は、誰か他の人に「聞く耳モード」の真逆の状態で自分の話を聞いてもらうと、切ない気持ちがわかるはずです。

4月のレッスンは「聞く耳モード」について深堀をして考えます。小学生のうちからこうやって傾聴スキルを身に着けられる環境があるということ、私は心の底から素晴らしいと思っています。